お正月の朝ごはん 24 ~木乃婦さんのおせち~


 

 今年のおせちは、ご近所とはいえ、なかなか普段はいただけない木乃婦さんのお料理をお願いしていました。12月31日、お嫁さんといっしょに興味津々と取りに行ってきました。



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 昨年の11月の終わりに、木乃婦さんのご主人の講演を聴き、そのことがきっかけで木乃婦さんで頼んでみようと思ったのです。

 西洋料理店と、京料理のお店の大きなちがいは、お店によって用意されたお料理をいただきに行くのが西洋料理店、お客様のご要望や好みなどを前もってうかがって、おもてなしの気持ちでお客様をお迎えするのが京料理(日本料理)のお店なのだそうです。

 「結納ですので、よろしく」「法事です」「古希のお祝いです」など、お料理はそれぞれの集まりごとにちがってきます。その場にふさわしい「おもてなしの心」で迎えるということです。

 木乃婦さんでは、玄関のお香とお部屋のお香はちがうそうです。

 西洋の香水はにおいをごまかすもの、それに比べて、お香というのは、煙の粒子の重みでにおいを落として消臭し、その上で香り付けをするのだそうです。玄関では、日常とはちがった場へきたことを意識してもらうためのお香の香り、お部屋では、その日のお料理に合ったお香のにおいが漂うようになっているのだそうです。

 おせちの金額には正直、びっくりしますが、でも、素材の凝りようといい、作り方の長年の磨き上げた腕といい、なるほどそれならそれぐらいはするよなあと納得。

 おだしを取るにしても、お昆布の産地の凝りよう、そして、その見事なお昆布をお鍋にぐるぐる巻きになるぐらい使い、頃合いをうかがってから、いいかつおを入れて長い時間かけてていねいにおだしを取るというその技術。

 やはり家庭ではぜったいにできそうにないような手の入れようと、料理人の磨かれた技術。そういう話を聞いても、なるほどなあ、だから京料理にはそれなりのお値段を払うんだとなんか納得。

 おせちは、薄味で、とてもいいお味になっていました。素材もよいものでした。

 そして、もうひとつ気づいたのは、朝にお雑煮と一緒に食べるだけより、夜にお酒と一緒に食べたとき、もっともっとおいしく感じました。この味付けは、お酒と一緒にいただくものなのかあ。

 わが家では、一重のおせちでしたが、おせちをもらいに行ったとき、3重を頼んでいるおうちがけっこうあって、びっくり。

 すごいお値段なのですもの~!

 伝票を書いてくださいというところが多かったので、おそらく会社関係のおうちの人たちで、お正月にご挨拶に来られた方々にお酒といっしょに接待されているのだなと思いました。

 木乃婦さんのご主人のお話で印象に残った話。

 京料理では、季節を少し先取りしたお料理が出されるのは、季節の移り変わりを前もって意識することで、からだを次の季節に向かわせる準備になるのだそうです。

 日本料理のおだしは、西洋のスープとはちがい、素材の味を一番大事にするものだということでした。確かに西洋のブイヨンとかだと、素材の味より、ブイヨンなどの味が強くなります。最近では和食が西洋でももてはやされていますが、それは、西洋人が素材の味を生かす味付けに慣れたから味わえるもので、慣れていない人にはあまりおいしいといえるものではないということでした。まったく食べたことのない国のお料理が最初は口に合わなくても、そのうち慣れてくるとおいしい!と思えるようになるのと似ているのだそうです。

 おだしって、普段はとてもいい加減にとっています。おだしの取り方を教えてもらいましたが、でも、頃合いの見定め方や時間のかけかたなどはぜったい無理。

 お正月という特別な晴れの日の、ぜいたくなお食事でした。そして、家族は一品一品食べるごとに、うれしそうな顔になっておりました。