谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」を訪ねて
わらじやさんへ
谷崎潤一郎の作品「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」の中に、京都のWという料亭というのが出てきます。
このお店は、谷崎潤一郎がとても好んだお店のようで、彼がいつも使っていたお部屋というのがそのまま残されています。
四畳半のお茶席なのですが、このお部屋、もともとはろうそくの灯りでお料理をいただいたそうです。
このお部屋で、ろうそくの灯りのもと、塗りの器のふたを開けると、白いご飯がほんのりと見えてとても美味しそうだと「礼讃」しているのです。
このお部屋でお食事をいただきたかったのですが残念ながら、昨夜は京都もとても暑く、エアコンが入ってないのでお隣の建物に移ってくださいと言われました。
とても残念でしたが、確かにエアコンがないと、鰻のお鍋と鰻の雑炊は暑くてたいへんだったろうと思います。
今ではこのお店では、鰻鍋とうぞうすいだけのメニューになっています。
最初のおもてなしは
ちょっと濃い目のお抹茶とお干菓子
6月の蒸し暑い夜には、とても涼しげに感じられました。
お庭の紫陽花でしょうか。
京都らしく、じゅんさい
そして、いよいよ鰻鍋
府中のお麩、焼き九条ねぎ、ぶつ切りの骨抜きした鰻、
そして、はるさめ。
おだしはお昆布だし。
鰻はとてもあっさりしていてとてもいいおだしの味でした。
生姜が隠し味。
山椒を入れていただきました。
鰻鍋との相性がとてもいい。
土鍋が熱いので、木の部分を持ってお鍋が運ばれます。
うぞうすいです!
白焼き鰻が入っています。
しいたけ、人参、ごぼう、卵、青菜入り。
これも山椒を入れるととても美味しい!
このお部屋もなかなかいいお部屋でした。
ここを訪れた文豪たちの絵や書が飾られていました。
これは、里見弴の書
壁にかけられていたもの
お庭
お部屋のお隣には谷崎が好んだお茶室。
入ったところにはひょうたんがたくさん並んでいました。
昔は、ろうそくでは暗いというお客には電気のあんどんを、
電気は好まないというお客にはろうそくの灯りを持ってきていたとのこと。
夜は8時まで。この日のお客は私たちだけだったみたいで、8時前にお店を出たら、すぐに電気が消えました。
落ち着いたいい夜を過ごしました。そして、お料理はほんとに美味しかった。
鰻鍋とうぞうすいで、6,100円也。お昼も同じメニューです。