雑感 154 ~宇治茶ができるまで~


 きょうもまた38度の酷暑の京都でした。明日は39度の予想だとか。

 でも、依然とちがうのは、朝夕、少し気温が下がっているかな?というところです。夕方には風もあるようですし、明け方はエアコンがなくても寝られました。

 でも、暑い。夕方でも35度です。

 暑いけれども、五条通を西に西に行くと、こんな場所があります。ひととき、涼しそうな気がしてきます。


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 さて、きょうは、祇園辻利さんから、宇治茶の歴史と宇治茶ができるまでの話を聞きました。

 鎌倉幕府ができるちょっと前、空海が中国から持ち帰ったお茶の種。どんぐりみたいで、どこで植えても育たなかったのだけど、比叡山でとりあえずは植樹がされたらしいです。

 その後、栄西さんが座禅の修行に中国に出かけ、お茶の栽培を建仁寺へ持ち帰り、「喫茶養生記」を著し、お茶は養生の仙薬として飲まれたのだそうです。

 栄西さんから明恵上人へと、むずかしいお茶の栽培が任され、宇治村でようやく成功したのだとか。

 以前は、宇治村は山城の国ということで、京都、滋賀、三重、奈良の県境のところにあったため、いまでもこれらの地域で、同じ製法で作られているお茶は宇治茶と呼ばれているのだそうです。

 摘んですぐに蒸して揉んで撚ったのが煎茶。煎茶は江戸時代に、永谷園を作った永谷宗円さんが発案。それまでは、石臼でひいた抹茶が、宇治茶として身分の高い人たちに飲まれていたということでした。

 摘んですぐに蒸した色のよいお茶が緑茶。摘んでしばらく置いて、発酵したものがウーロン茶。イギリスがアジアの植民地から船で1か月ほどかかってお茶の葉を運んだら、発酵が進んで真っ黒になってしまったお茶がブラックティー(紅茶)になりました。ブラックティーは、上等な葉っぱを捨てるにはもったいなくて、お砂糖などを入れて何とか飲めるように工夫したものだったという話はよく聞きます。

 最近では、宇治茶で和紅茶を作って販売しているものがいくつかあります。ちょっと
独特で、くせになりそうな味です。

 抹茶を石臼でひかせてもらいました。


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 一人分をひくのに、1時間はかかるのだそうです。なかなか重くて、二の腕が鍛えられそうでした。最近ではなかなか手作りというのはたいへんで、石臼はイベントの時ぐらいしか使わないのだそうです。機械の石臼が24時間ずっと動いているのだそうです。

 
 その年に採れたお茶を、細かくし、秋に「口切」というのを行うのだそうです。


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 甕の中に何種類かのお茶が入っており、それを選んでもらって、抹茶にするのだそうです。甕の口を切るというので、「口切」というそうです。

 石臼でひいている間、お客さまたちは懐石料理をいただくのだそうです。そして、今年のお茶をいただく。なんて厳かで優雅なお茶会でしょう。

 祇園辻利さんからお話を聞き、ひとくち抹茶アイスも分けていただき、1時間ほどでしたが、とてもいい時間を過ごしました。最後はお茶席でお抹茶とお菓子をいただきました。昔はお薬だっただけあって、夏バテのからだによさそうな味わいでした。

 お茶の十徳は、明恵上人が建仁寺に遺したものだそうです。

 茶の十徳
一 諸神は加護す
      (いろいろな神様が守ってくれる)
一 五臓を調和す
  (心臓、肝臓、腎臓、脾臓、すい臓をよくする)
一 睡眠を消除す
  (眠気をとる)
一 煩悩を消滅す
  (つまらない、くだらないことを取り、頭をすっきりさせる)
一 父母に孝養す
  (親孝行する)
一 息災にして安穏なり
  (病気をせず、心身ともに健康である)
一 天魔を遠離す
  (災いのあるものから守ってくれる)
一 諸人を愛敬す
  (諸々の人を尊敬する)
一 寿命は長遠なり
  (長生きする)
一 臨終を乱さず
  (自然に安らかな死を迎えることが幸せである)

 緑茶は毎日飲んでいます。

 明日は抹茶を買ってこよう。和菓子も涼しげな細工がされていて、季節感を感じました。そして、小豆もからだによさそうです。ダイエット中ですが(いつもそう言ってますが・・・)、心のどかに和菓子も添えて、お茶を楽しもうと思いました。