雑感 113 ~フランス人は10着しか服を持たない~



~フランス人は10着しか服を持たない~

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 今、ベストセラーの本だそうです。
 カリフォルニア育ちの筆者が10代のときにフランスに留学し、ホストファミリーの暮らしの中から、今までの生きかたを見直そうとする内容です。

 この本を読んでみて、私には、フランス夫人の暮らしぶりより、むしろそういうことって、わりと当たり前のことなのに、それに対して、本まで出そうというカリフォルニア生まれのアメリカ人の暮らしぶりのほうにびっくりしてしまいました。

 筆者がしきりと驚くフランス人の朝食や夕食の食卓は、日本人にしてみたら、別に驚くこともないような、むしろ質素な食卓です。たとえば、朝、コーヒー、チーズ、昨夜の残り物のパイ、ポテトサラダなどにジャム付きのバケットって、そんなに驚かないと思うのです。でも、アメリカ人の朝食はシリアルが主流なので、これだけのものが朝食に出されると、ビックリしたようです。

 夜も5種類のフルコースということを驚いているのですが、私たちの食卓でも、たとえば、おつゆというスープ、お肉、サラダ、和え物、ご飯というだけで、5種類のフルコースです。そこへ甘いものをちょっとデザートにということだって、ありえます。

 アメリカ人の食生活って、どうなってるんだろ!?とそっちの方に驚いてしまいました(そういえば、イギリス人の夫を持つ人の話では、夫のお姑さんが日本に来て、当たり前の食卓のおかずに対して、いつもこんなに出るのか?とびっくりされていたそうですので、イギリスでもそうなのかも・・・。そのイギリス人のご主人は、お母さんが忙しかったので、毎日毎日冷凍のポテトばかりだったのだとか)。

 筆者が驚いていたことの中には、フランス人は外を歩きながらものを食べない!ということもありました。日本人だって、そんなことは当たり前ではありません。

 でも、だんだんと日本もアメリカ化してきているのは、事実です。若い人たちの中には食べながら歩いていたりということもあります。そして、だんだんと日本人の朝ごはんも変わってきていて、しっかり食べない人もいます。

 また、フランス夫人がお水を飲んでいて、いつもジュースばかり飲まないことにも筆者は驚いていました。私たちだって、お茶が主流です。

 フランス夫人は、家事を自分でしている!フランス夫人はスーパーでまとめ買いをしないで、毎日歩いてお店に行って、買い物をする!ということにも筆者は驚いていて、そういう暮らしこそ大切なことだと気づき、アメリカに帰ってからは、歩いて買い物に行くようにしたら、ベーカリーがアメリカにもあった!と感激もしていました。

 ますますアメリカって、どんな国!?家事も自分でしないの??、ベーカリー、街にあまりないの??と思ってしまうのですが、でも、この傾向も、だんだん日本にも入ってきています。

 フランス夫人の家での暮らしは、私たちの世代ではそれほど不思議はありません。一応、私なんかは、朝起きたら着替えるし(このカリフォルニア娘は古びた楽な服で寝て、朝起きてもそのままだったそうです)、部屋でだらしなく寝そべりながらポテトチップスを食べるということも、フランス夫人同様私の世代ではあまりしないと思います。でも、若い人たちは変わってきているというのも事実です。

 ちょっと機会があって、「モモ」というお話を読み返しています。

 そうしたら、このアメリカ化していく暮らしのあり方こそ、「時間泥棒」に時間の節約を勧められて、あくせくあくせく時間を節約して節約して、いらいら暮らす今の社会のあり方とそっくりそのままだなと気づきました。

 ゆっくりひとつのことに時間をかけて味わったり、ゆっくり歩いてあちこち出かけていろいろなものを観たり、音楽を聴いたり、本を読んだり、・・・。そして、掃除もていねいに自分の部屋やトイレや洗面所などを慈しみながらきれいにしたり。お花の手入れをこれまた慈しみながらやったり。

 そういう暮らしぶりから、忙しくあくせく暮らし、疲れきって家に帰り、テレビからは騒がしい音が部屋中に聞こえる。

 これって、モモのお話の、時間泥棒に時間を盗まれた人たちの暮らしぶりです。

 フランス夫人が大切にしているものは、昭和の時代まではまだまだ日本でも当たり前でしたが、やはりだんだんとアメリカ化され、買い物は一週間に一度、冷凍庫にはすぐに食べられるものがいっぱい。ゆっくり楽しんで手作りのお料理なんて作ってられない!そういう暮らしになってきているのも事実です。

 アメリカ人って、どんな暮らし??と驚いた私も考えてみれば、簡単に作れるものでさっさと夕飯を済まして、テレビかけっぱなし、寝るまで雑音的な音が聞こえているという暮らしでした。

 この本を読んで、たしかにアメリカ人よりはましとはいえ、でも、私も時間泥棒に時間を盗まれていたことを痛切に感じ、毎日の暮らしをていねいに変えていきたいと思いました。そして、フランス人のように、美術館めぐり、映画館めぐり、歩くことを愛し、暮らしを愛し、テレビを消して静かにゆっくりほんとうに豊かな暮らしを取り戻さないとと痛感しました。

 そして、ものがあふれかえった暮らしではなく、自分に最も似合うものを少しだけしか買わないフランス人の洗練されたおしゃれな暮らし、知性が重んじられる価値観も見習わないと!