この二週間余りの間、父の急な入院でかなり緊張が高まっていました。疲れもたまってきたころ、職場である人から「岩谷時子の『君をのせて』が沢田研二の声とともに、いろいろな聴き方ができてすばらしい曲だという話をテレビで観た」と言われました。

 

 

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 高齢の父の入院、高齢のためにこの先どうなるのか全く予測がつかない、私が何かにつけていろいろな判断をしなくてはいけないという状態が続く中で、ちょうど夜の暗い海に向かい合うような心境でしたので、この歌が心に沁み込んできました。

 

 人生の中で、もはや地図もない道を歩まなければならないとき、「皮の靴を履いて」「粋な粋な歌を歌い」ながら夜の海に航海していくということの大切な生き方に気づかされた気がしました。

 

 若い頃の沢田研二の声では若者たちの姿が浮かんできますが、少し年を重ねた沢田研二の歌からは、この歌がいくつになっても状況を変えて胸にしみ込んでくる気がしました。

 

 

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どんな「粋な歌」が歌えるのか、そこがむずかしいところですが、生きていく上での指針になるような岩谷時子さんの歌詞です。

 

 岩谷時子さんは、神戸で生まれ育ち、キリスト教の女学校に通われていたとか、聞いたことがあります。丘の上から外国船の行きかう港を見下ろし、はるかな海を見て育たれたのでしょう。岩谷さんの発想には、京都の盆地で育った私には浮かばないような発想を感じて惹かれます。そこに宮川泰氏の曲がつき、おかしいことに、京都の盆地で育った京男のジュリーが歌ったんだ。

 

 この歌詞に支えられるようなものを感じ、改めて、岩谷時子さんの詩の深み、そして、若いころ、年を重ねてからのジュリーの歌声の魅力を感じた今日この頃でした。