きょうのひと品 22 ~雪鍋~

 
                      雪鍋
 
 
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 春がやってきたのかなと思うと、また寒い夕暮れ。
 
 春は、こんなふうに、予感してもまた冬に逆戻りしながら、そのうちにやってくるもの。
 
 夢もまた、そんなふうに、予感しては逆もどりしながらそのうち叶うのかも・・・。
 
 春が来る前の寒い夕暮れ時、今夜は雪鍋を作ってみました。
 
 冷蔵庫に残っていたお大根がだいぶ食べられました。
 
 お豆腐を入れて、雪の中に浮いているよう。
 
 ふつふつ、ふつふつ、お豆腐が熱くなると、お大根もふつふつしてきました。
 
 
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 今夜の雪鍋は鬼おろしでお大根を摺りました。
 
 柔らかいのがいい人は、きめ細かく摺ってください。
 
 きょうはお大根がたくさん食べられるように、ちょっと粗めに摺りました。
 
 
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今回はお豆腐を先に食べましたので
そのあとで普通のお鍋のようにしました。
もちろん最初から普通のお鍋のようにして食べてもOK。
 
 
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 初めて雪鍋を教えてもらったのは、就職したころでした。年配の方のおうちにおよばれで出かけました。
 
 そのときは、普通のお鍋の具材を最初から入れていただきました。そのころはまだポン酢というようなものはあまり売ってなかったころなので、お醤油をかけていただきました。
 
 大根おろしの中にお豆腐。こうすれば、雪の中に白いお豆腐が浮いてるようです。
私はこういうふうにして、先にお豆腐を食べるのが好きです。
 
 そこのおうちは、床がフローリングなのだけど、テーブルのところだけ段が作られていて、和風の畳になっていました。
 
 物静かな学者さんのご主人が私たちに精一杯サービスをしてくださいました。いいご夫婦といいおうちだなあと思いました。
 
 そこのおうちのお向かいにも、同じ職場の方のおうち。その方のご主人は、能舞台で笛を吹いていらっしゃったそうで、おうちには能舞台があるのだとか。
 
 素敵なおうちのある一区画で、若い私はこんないいおうちとご夫婦がいるんだなと風流な思いを抱いて帰ってきました。
 
 そのときの素敵さの象徴みたいなものがこの雪鍋です。こんな風流なお鍋があるなんてね。
 
 今夜は冬の終わりの最後の雪鍋。明日はもっと寒いのだとか。
 
 お酒は、農口杜氏の「常きげん」。これがまた、とてもまろやかで美味しいのです。