ネットdeお買い物 91 ~ちびくろ・さんぼ~


  このごろはほんとに便利ですね。

 買いたいものはいちいち探しに行かなくても、ネットでポンとクリックしたら買えるのですから。


 絶版になっていたちびくろ・さんぼ。また売られています。
 

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 以前、黒人差別として絶版になったこの本、やっぱりおもしろいのでまた復活しています。たしかにおもしろいのです。

 ただ、「さんぼ」というのは、白人が黒人を蔑視して呼ぶ言葉だそうです。作者はイギリス人軍医であった夫とインドに滞在していたスコットランド人、ヘレン・ バンナーマン(ヘレン・バナマン)。夫の赴任先のインドで黒人を召使にして、裕福な暮らしをしていた夫人が、たとえ子供のためにおもしろい話を書いたからといって、黒人差別の童話は許されないとして絶版になりました。そのころ、それが話題になって、絶版をめぐっての本も出版され、読んだことがありました。

 その時代に生まれたのが息子の世代だと思います。お嫁さんは読んだことがないと言っていました。

 私は小さいころ、ダッコちゃんの人形が流行り、並んで買ってもらった世代です。そして、この本もとても楽しんで読んだ世代です。

 絶版になったとき、とても残念でしたが、なぜ絶版なのかという本を読んで、納得し、あきらめたことがありました。

 それ以外にも、私たちが気づかない差別に、「風とともに去りぬ」。黒人の召使役の女優さんにアカデミー賞助演女優賞が送られたとき、奴隷役で黒人が賞をもらうことに黒人たちには大きな抵抗があったそうです。たいていの人はてっきり、南部のスカーレットは黒人にやさしいと思ってるけど、なるほど、ちがうのです(岩波新書風と共に去りぬアメリカ」)。

 ところが、この「ちびくろさんぼ」、やっぱりおもしろいと残念がる人が多かったようで、その後は、タイトルを変えて同じ話が出てきたりしていたのですが、いつの間にやらまたそのままのタイトルで復活(その後の経過は知りませんが、・・・)。

 この絵本は、最初に出版された外国版の絵本の絵を使った本です。

 孫のAOIちゃんがインフルエンザになり、急きょ、大阪に呼ばれてお守りに行ってきました。その時、とっさに図書館で借りてきたのがこの本でした。あ、この本、そのままのタイトルで並んでいるんだと思って、小さかったころおもしろかったので、思わず借りました。

 案の上、この本は小さな子にはものすごくおもしろいようで、それこそ喉がこそばくなり、風邪ひくんでは?と思うほど、何度も何度も読まされました。

 子供っておもしろいなあと思いました。AOIちゃんにとって、この本の一番の面白みは、予想通り最後でした。


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 高々と積まれたホットケーキの絵に、大よろこび。「すごいねえ~。AOIは1枚しか食べられないのにねえ~、こんなにたくさん、どこから食べたのかなあ??下からかなあ?どんなフォークで食べたのかなあ??あ、ふつうのフォークだ・・・」と毎回、読むごとに言うのです。

 そして、「169」という数字に興味を持ったようでした。どういう数字かはわかってないのでしょうが、とにかく多いというのがどうも「169」だと思ったようで、「169って、書いて~~」というのです。それで、いっしょに「169」と書いたりしておりました。

 あと、すごくおかしかったのは、何度も読むうちに、おとなは見過ごすような疑問を投げかけてくるのです。

 納得がいかないところがいくつかあったみたい。

 ひとつめ。どうしてママが「まんぼ」でパパが「じゃんぼ」なの??ママは「じゃんぼ」だよ。パパが「まんぼ」!と言い張ります。で、そこから進まなくなります。

 なるほどなあ。確かにパパは背は高そうだけど、ひょろひょろです。ひょろひょろにズボン履いてます。ママはからも大きく、どっしりしていて、とても太っています。たしかにママのほうが「じゃんぼ」ですねえ・・・。

 ふたつめ。どうして「わ」になったの??

 うしろのとらが前のとらのしっぽにかみついて、前のとらは、そのまた前のとらのしっぽにかみついて、・・・と説明したら、とてもおもしろかったみたいで、はしゃいでました。

 ところが、みっつめの疑問。あんまり早くぐるぐる、ぐるぐるまわったので、足がみえなくなりました~、という絵を見て、・・・。「しっぽをかんでる歯はどこに描いてあるの??」

 あ、なるほど、と思い、「しっぽをかんでる歯もあんまり早くまわったので、見えなくなりました~~~」と追加して読んだら、とてもよくわかったみたい。

 よっつめ。最後のページで、169でよろこびつつ、さんぼのテーブルは子供机だねえ。どうしてなの??

 あ、なるほど、おとうさんとおかあさんは前のページで同じテーブルで食べているのですが、さんぼだけ、確かに一人用の子供机で食べてるわ(写真のページ参照してください)。これについては、「ほんとやねえ」と言って、ふたりで笑っておいたけど・・・。

 なんども注意されたところ。「・・・・・・と、とらは言いました。」といった箇所は、聞いてる小さな子供には、「と・とら」と聞こえますので、「『ととら』じゃなくて、『とら』でしょ!」と何度も注意されるのです。それで、「と、・・・・・・・・・・・・・・・とらはいいました」。

 もちろん、「なぜこの子は黒いの?」という質問もありました。これはなかなか理解がむずかしいようでした。「人にはいろいろな色の人がいて~、黒い肌の人とか、白い肌の人とか、・・・」(AOIちゃん「???」)、うっかり「黄色い肌の人とか・・・」と言ってしまったものですから、大失敗。なんとかという漫画の動物が黄色なのだそうです。「そうだね、○○は黄色いものね」と、ここでへんな納得のされ方をしてしまいました(しっぱい、しっぱい)

 それ以外にもいろいろ疑問を持つところもあり、それもふくめて、この本、おもしろかったようです。

 お嫁さんが仕事で夕方まで帰れなくて、私が代わりにお守りをしていたのですが、ママの帰りをひたすら待ちわびておりました。そして、ママがかえってきたら、この本をママにも読ませてあげるの~!と、とてもうれしそうでした。

 ママが帰ってきて、私も京都に帰ってきたら、ママからラインのメール。「ちびくろさんぼは、おばあちゃんが読むのがおもしろかったようで、いろいろダメ押しされました。」となっていました。そうなのですよ~。AOIちゃんの期待を予測して、特に最後のページはじらしてじらして、そしてパッと開いて、「169!」と言わなくっちゃね!

 ママの感想。AOIはまだ黒人の人に慣れてなくて、この本で親しめたらいいですね(ふ・・・ん、なるほどね、それでこの本、復活???)。

 保育園に通っていると、いろいろ刺激を受けるようで、3歳ですが、そろそろ文字にも関心を持ってきたようです。「169」以外にもいろいろ書かされました。その中には、「『AOIちゃんはひこうきにのりたくないのでハワイにいきたくないといっています』と書いて」、というのもありました(ガッカリ~~~)

 絵本を読んでもらっていても、大人は(子供だって)字というのを読んだり書いたりするんだなと最近、よく思うみたいです。

 おかしいことに、高熱を出して、インフルエンザかもしれないということで、お医者さんに連れて行かれたとき、先生が「では、検査をしましょう」と言われると、とても申しわけなさそうな顔をして、「せんせい、AOIはまだ字がかけないんです・・・」と言ったのだそうです。

 「ちびくろさんぼ」は応急的に図書館で借りてきたものだったので、「この本は図書館のだから、返さなくっちゃいけなんだね・・・」とAOIちゃんがぽつんと言うので、買ってあげようねということになりました。大喜びだったので、家に帰ってさっそくネットで注文。便利なこと。

 それにしても、子供心をつかむ絵本の特徴って、どういうものなのでしょう。おとながおもしろいと思っても、通じないものもあります(がっかりしてしまいますね)。思わぬ反応がかえってくることもあります(そうか、AOIちゃんもシンデレラのように王子様と結婚しよう、だって、ママはピンクのお洋服買ってくれないんだもの、あ、シンデレラのドレス、水色だねえ・・・、12時になったら消えてしまうのかあ・・・、といったふうに、現実的な欲望の反応を示したものもあり)。

 子供心をつかむ絵本、まずは身近なところで、AOIちゃんを実験台にして、リスト作ってみるとおもしろいかも・・・。