きょうのお買い物 89 ~ノンちゃん雲に乗る~


 私が小学生だったとき、教科書に、「ノンちゃん雲に乗る」のお話が出ていたような記憶が・・・。

 妙に気になっていたお話なのです。それで、とうとう買いました。


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 作者は石井桃子さん。

 戦後、村岡花子さんは、「赤毛のアン」を翻訳して、少女たちの本を世に出しましたが、同じく、石井桃子さんも少年少女のために外国のお話を、戦後、たくさん翻訳しています。「クマのプーさん」「ピーターパンとウェンディ―」「トムソーヤの冒険」など、数多くの翻訳本が今でも岩波少年文庫などに入れられていて、たくさんの少年少女に読まれています。

 「クマのプーさん」や「ピーターパンとウェンディ―」は、ディズニーでお目見えする前の原作の翻訳です。特に「ピーターパンとウェンディ―」は子供向けのようでいて、実はこれ、大人向けなのでは?と思ってしまうようなお話のようです。

 「まぼろしの白馬」というのは、貴族の少女がみなしごになってしまい、年配のいとこのお城のようなおうちにご厄介になりに行くというところから始まるお話なのですが、まるでミステリー小説でも読んでいるような、どうなるんやろ・・・と思わせるような書きぶりです。こんなふうに、子供たちもワクワクしながらお話の世界に入っていくんだろうなあと久しぶりに童話の世界に入り込んでみたい気分になっているところです。

 ここしばらく、NHKの朝ドラは、時代が変わったときに、伸び伸びと活躍していった女性たちのドラマが続きます。今、放映中のファミリアの創設者の女性の話も毎日楽しみにしています。自分の子供が小さかったころ、デパートでいろいろ選んで買うのがとても楽しかったあの子供服のファミリアが、実は女性たちの手によって生まれたとは今回初めて知りました。

 また、村岡花子さんの「赤毛のアン」は、夢中になって読んだので、これもとても関心を持ってみました。

 「暮しの手帖」もしかり、です。

 そして、同じように戦後、伸び伸びと活躍していた人が、石井桃子さんです。

 太宰治の恋心をポイッと跳ね返して(ここがすごいなあ~)、戦後、アメリカやイギリスの図書館における児童書のあり方を時間をかけて見て回るという使命を帯びた留学の旅に出て、アメリカやイギリスの図書館の進んだ児童文学への取り組みを研究した人です。その後は自宅を子供たちのための図書館にもしています。

 今回、石井桃子さんの訳本をいろいろ探していて、これほどにもたくさんの外国の少年少女向けの本を翻訳しておられたのか、とその仕事量に驚きました。そして、訳本だけではなく、「ノンちゃん雲に乗る」のような子供向けのお話も書いています。「ノンちゃん雲に乗る」は、鰐淵晴子主演、原節子のお母さん役で映画にもなったのだそうです。私が生まれるちょっと前のことでまったく知りませんでした。それで、私が小さかったころに、国語の教科書にも載っていたのかと初めて知りました。

 この冬は、少年少女向けの本で、外国のものをいろいろ読んでみたいと思っています。戦後、これだけの仕事を果たした女性たちの訳した本を読んで、お話の世界で心を解き放ってみたい気分になっています。昭和の初めから戦争中まで、軍国主義のお話しか読めなかった時代を経て、戦後、子供たちのために使命感を持って翻訳された本なのだと思います。おとなも子供の時のように心を伸び伸びさせてお話の世界に入り込んでいくというのも楽しいのではと、楽しみにしています。