雑感 132 ~情熱のシーラ~



 「情熱のシーラ」


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 先月末にようやく下巻が出ました。

 日本語版タイトルでの「情熱のシーラ」は、スペインドラマの原本の日本語訳です。

 今、NHKで日曜日の夜11時から放映されています。

 今までスペインってあまり関心がなかったのですが、このドラマを通して、スペインやモロッコに関心を持つようになってきました。

 第二次世界大戦前夜ともいうべき1930年代後半から話が始まります。スペインの内戦が勃発する前に、婚約者と母を捨て、情熱的な恋人に連れられてモロッコへやってきたシーラが、何がなんだかわからないうちに、その恋人に父親からの財産をすべて持ち逃げされ、その上、多額の借金さえ背負わされていきます。そんな時、スペインで内戦が起こり、母親とも連絡さえ取れない状態になる中で、危ない橋を渡ってまで母親を比較的安全なモロッコに呼び寄せ、やっと落ち着けたのもつかの間、いよいよドイツが新たな戦争を始めようとしだします。その戦争を食い止めるために、とうとうモロッコでたいへん親しくなったイギリス人の親友に頼まれ、スペインを守るという使命感のもと、スパイになり、恋だけではなく、時代にまで翻弄されるシーラという女性の波乱万丈の人生を描いたドラマです。

 今、テレビではそのあたりまで話が進みましたが、本で読んでいると、テレビで省略された部分がいろいろ読めて、おもしろいです。

 モロッコのヨーロッパ人の保護領の様子などは、テレビで見たほうがわかりやすいですから、なかなかドラマも関心を持ってみてしまっています。

 モロッコは、アフリカとはいえ、ちょうどスペインのすぐ真下に位置し、なぜヨーロッパ先進国がモロッコに目をつけたのか、よくわかります。

 イギリス人、フランス人、スペイン人、ドイツ人などが同じ場所に暮らしていたというのもめずらしい国です。ヨーロッパ人の建てた豪勢な建物、各国の政治的権威を持つ人たちの社交の場。そんな中に原住民であるイスラム系のモロッコ人たちが頭からすっぽり布をかぶって道端で商売して暮らしている町の様子。

 今、モロッコはどうなっているのだろうと思いました。モロッコもまた、領土を広げたいヨーロッパ先進国に翻弄された国だったようです。

 この夏、「情熱のシーラ」3巻を読むこと、これが楽しみのひとつです。シーラ役の女優さんのなんて魅力的なこと。顔の表情や歩き方、身のこなし方など、日本ではこんな美しい動きのできる人っていないのでは?と思ってしまいます。

 日本人もだいぶ美しくなって、ミス・ユニバースなどでは世界の美女たちに引けをとらないようにはなってきていますが、むしろ、昭和の20年代30年代の女優さんのほうが身のこなしや歩き方は、いかにも女優然として美しかったのかもしれないなと思ったりもします。

 シーラ役のアドリアーナ・ウガルテの歩き方はほんとに美しい。その後姿も実に腰の動かし方がしなやか。女優たるもの、ああいうしなやかだけど堂々とした麗しい歩き方ができるべきだと思ってしまいます。

 なんでも誰かの助けを借りないと生きていけてなかったシーラが、どんなふうに自分の力でたくましく生きていくのか、戦争がいよいよ始まり、その戦争をどう生き抜き、自分のオートクチュールのお店を守り、繁盛させていくのか、懸命なシーラの生き方を関心を持って読んでいこうと思います。