雑感 114 ~ひとりぼっちを笑うな~



 ~ひとりぼっちを笑うな~(蛭子能収


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 漫画家でタレントの蛭子能収さんの本です。ちょっと気になって、読んでみました。

 そうしたら、この方の飄々とした生き方、なかなか楽しそうです。自由に関する考え方や生き方がぶれてなくて、おもしろい本でした。

 彼は、小さいときからいじられキャラだったようです。もともと一人遊びを楽しむところのあった人のようですが、友達から自分の自由を守るためにも一人遊びは大事なものだったようです。

 でも、一度も嫌われているという感じは経験したことがないのだそうです。いつもだれかに「かわいがられている」(いじられていることさえもかわいがられているところからきている)と感じていたので、嫌われて孤独という感じは抱いたことがなかったようです。

 だからこそ、ひとりでいることに何の不安も感じたことはなく、ひとりをとても楽しんだのだそうです。

 自分がされていやなことは絶対に人にはしない、それを徹底的に自分の生き方に課したのだそうです。たとえば、お金を貸してくれと言われると自分がいやなので、自分も絶対に人にお金は借りない、貸さない。自分が自由でありたいから、人の多様性もとても大事に思うとか。

 群れには必ずリーダーがいるから、群れには入らない、自分がされるといやなことはしないので、タレントがやっている楽屋挨拶はしない。そんなことをされると相手は面倒だろうなあと思うので、しないほうがいいと思ってしない。本業が漫画家であり、タレント一本ではないので、それも周りから許されていて、いつもにたにた笑っていると、芸能界でもえらそうにしているとは思われなくて、飄々とやっていけているようです。

 自由でないと生きていけない彼にとって、戦争は自由を奪うものであるし、残虐な事件に関しても彼の自由を守る思いが伝わってくるように、こういった話においては飄々とせず、とても真剣な様子でした。

 また、おもしろいなと思ったのは、規則についての考え方。いろいろな人の自由を守るために、ルールはとても大事なことなので、ルールは絶対に守るのだそうです。ただ、あいまいなルールが多くて、そのために黙認がされているものがそのままあるのは、おかしい、ルールは決してあいまいであってはいけない、なぜなら、ルールは人の自由を犯さないために絶対に守らないといけないものだけがルールだと思うから、現状に合わず、あいまいで黙認されているものが残っているのはよくない、という思いが書かれていました。

 彼の自由観は、自分が自由でないと生きづらいので、人の自由を守るためにも、人に決していやな思いをさせない、迷惑をかけないということをとても意識しているようです。

 個性を磨くために自分探しをする、そのことに関する疑問も書かれていました。個性は自分が作るものではなくて、人が見て、個性的だと思うもので、自分が探すものではないとのこと。自分が自由を大切にして生きている中で、その人の個性が人によって見えてくるものであるという考え方が書かれていました。

 そんな彼が始めて孤独を感じたのは、最初の奥さんの死んだときだったそうです。初めて、自分が奥さんに依存していたことを実感したのだそうです。しばらく何を見ても悲しくて、初めて毎日泣いて暮らしたそうです。

 そんな日、最初の結婚がうまくいったから、きっと結婚したらまたうまくいくと思って、結婚しようと思ったのだそうです。分かり合えて、話ができる、愛する人がいることで、人はどんなにひとりでいることを好んでも、ほんとうの孤独は感じないのだということを知ったための結婚だったようです。

 そして、今の奥さんと出会って、結婚。今では奥さんの連れ子の子供を自分の本当の孫よりも愛し、しばしば会っているのだそうです。

 たぶん、奥さんとずっとうまくいっていたのは、奥さんを大事にする人だったからではないかなと思いました。子供より、奥さんのほうが大事というのが信条なのだそうです。子供は必ず離れていくので、奥さんが大事なのだそうです。

 
 ひとりぼっちを楽しむこと。でも、彼は、何かの目的で、その目的のためだけに集まるグループはとても楽しいと思うのだそうです。習い事などもその部類です。

 嫌われているひとりぼっちはとても孤独でさびしいけど、愛している人がいて、愛されている実感が身についているひとりぼっちは、なんて恵まれて、豊かな生き方でしょうか。幸せな人なんだと思いますが、それはやはり、自分も人を大事にしているからこそ、幸せになれる、そういうものだと思うのです。