さわやかな初夏の森の新緑。下鴨神社糺(ただす)の森の緑です。
緑に囲まれた古い古いお社とともに見える朱色の鳥居。この朱色がなんて鮮やかなこと。そして、いかにも神さまがおられるなあという雰囲気。たしかにこの神社の境内には神さまがおられる・・・。
この日、馬が走る馬場です。
神殿に向かう一行。手に持っているのが弓矢の的です。
神殿では、この日の流鏑馬が無事行われますよう、神事が始まりました。頭に飾っているのは、葵の葉っぱ。
約1時間の後、いよいよ「流鏑馬、始めませ~」の掛け声。そして、「おう~」という声。
??「おう~」なんて言うんだあと思っていたら、「応じる」の「応」なのだそうです。
でも、なかなか始まらず。なんとか、お公家さんの装束をした人たちが馬に乗って馬場をゆっくり過ぎていきます。
その後もなかなか始まらず。京都のお祭りは実にゆっくりしています。
ひし形のベニヤ板が的です。
これが3箇所に置かれています。
パッパッパッパッ!と馬の駆ける音。そして、バシ~~ン!とベニヤ板の的が割れる音。最初の人がまず、3箇所の的をみごとに射抜きました。写真は、・・・・、あまりにも早くて、まったく写せず。
大きな喝采が続き、3人の人たちが見事な弓の技を披露して、無事、事故なく終わりました。
カメラのフラッシュが使われると、馬が驚き、事故になったこともあるようです。たずなをはずし、両手を使っての技の披露ですから、とても危険なのだそうです。
さて、この神社には、茶屋があり、名物の申餅をいただくことができます。
葵祭りは、旧暦4月のほぼ1ヶ月の間にわたり、祭り儀式が行われます。昔は、この葵祭りが行われている申の日に、小豆のゆで汁で作られたお餅が神前にお供えされたそうで、ほんのりと「はねず色」に輝くこのお餅のことを都人は「葵祭りの申餅」と呼んだそうです。
明治になると、このお餅はお供えされなくなったそうですが、140年ぶりに復元されて、「さるや」という茶屋の名物になっています。なかなか美味しいお餅でした。
また、このお餅の色の「はねず色」というのは、明け方の一瞬、空が薄茜色に染まる様子を表す色だそうで、命の生まれる瞬間を表すとされ、これを食べることで、身体を清め、元気の気(け)をいただき、無事息災に過ごせるようにとお祈りした故事にならって、復元されたそうです。
下鴨神社内には、いくつかの神社があります。その中には、女性の守護としての信仰を集めるお社もあります。
河合神社の鏡絵馬
あれ?これって、・・・、京都の油とり紙で有名なよーじやさんのあの顔ではありませんか!
でも、新緑のシャワーをたっぷり浴びられたことがとてもさわやかなひと時でした。
ちはやぶるかみをば足に巻くものか(神主忠頼)
これをぞ下の社とは言ふ(和泉式部)
恋多き、和泉式部にあまりよい印象を持っていなかった忠頼さんが、足を怪我して「紙」を巻いていた和泉式部に、「恐れ多くもかみ(神)を足にまくとは!」とちょっと意地悪くとがめたそうです。そうしたら、和泉式部が、「かみ」を「紙」「神」以外に、もうひとつの「上」ととらえ、「だから、ここは上ではなくて、下の社でしょ」と答えて、忠頼さんを感心させたとされる歌です。
帰り道、四条通を通るバスに乗ったら、観光客らしい人が、「鎌倉と京都じゃ、私は鎌倉のほうがいいわ。京都はほら、もうすっかり都会で、こんなふうに緑がないじゃない」と言われてました。「ああ、たしかにここは繁華街。でも、私は今、下鴨神社で新緑のシャワーをいっぱい浴びてきたんですけど・・・、緑、いっぱいだったんですけど・・・」と教えてあげたくなってしまいました。
いよいよ初夏です。木々の新緑がみずみずしく美しい季節です。