京都deお散歩 67 ~春桃会 三十三間堂~

 
 
                  春桃会
 
                     三十三間堂
 
 
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                  きょうは拝観無料でした。
 
 
 
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 お堂の中には、千体の仏さま。今では黄金がだいぶはがれていますが、昔はあれだけの仏さまが並んでおられたら、それはそれは豪華絢爛、きらきらと耀いていたことでしょうね。
 
 残念ながら、お堂の中は撮影禁止ですので、写真は撮れませんでしたが、中央の大きな仏さまの横に、七段の島津の有職雛人形が飾られていました。仏さまがあまりにも大きいので、雛壇が小さく見えたぐらいでした。
 
 大勢の参拝客の人たちの中で、 いろいろな仏さまを見ながら進んでいたら、外から何やら聞き覚えのある声が・・・。
 
 
              ものすごく大勢の人の向こうには
 
              青空説法中の瀬戸内寂聴さん
 
 
 
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 どうも毎年、青空説法は瀬戸内寂聴さんみたいです。天台宗のお寺ですのでね。でも、すごい人だったので、小さく小さく見えるだけ。
 
 すぐそばで瀬戸内寂聴さんの本が売られていました。
 
 私は昔の瀬戸内晴美さんの頃の本の方が好きみたいです。
 
 大学の1回生の時、初めて瀬戸内晴美「美は乱調にあり」を夢中になって読んだことがありました。
 
 伊藤野枝という女性のとてもエネルギッシュでたくましい生き方に圧倒されました。この作品で初めて大杉栄という社会活動家も知りました(19歳の私が最初に惹かれたのは、辻潤という野枝の女学校時代の先生で、野枝の最初の夫となった人のほうでしたが)。
 
 野枝と大杉栄は、関東大震災のときのどさくさにまぎれて暗殺されました。
 
 そして、この作品を通して、大正時代の青踏という女性解放運動の機関誌も知りました。初めて「女性史」に出会ったのが、この本でした。
 
 瀬戸内晴美の本がおもしろくて、その後、何冊か晴美さん時代の小説を読みました。和泉式部日記の内容を忠実に描いた「煩悩夢幻」も読み始めたのですが、どうも最後まで読まなかったのかも・・・。
 
 最近、和泉式部日記を読んで、想像していた人物像とぜんぜんちがった和泉式部を知り、少しイメージが変わりました。
 
 
    黒髪のみだれも知らずうちふせば まづかきやりし人ぞ恋しき
 
 
などという歌を歌う彼女は、恋多き情熱的な歌人かと思っていたのですが、意外と消極的に男性を待っては切ない恋の思いに沈んでいたみたい。まあ、女性は待つしかない立場ではあったわけですが・・・。
 
 七夕の夜も訪れてくれない恋人敦道親王を切ない想いで待っていると、歌だけが届きます(これって、うれしいのか、つらいのか・・・?今でいえば、クリスマスイブにデートしてくれず、メールだけとりあえず送るみたいなものでしょうか)。
 
 まさかこの七夕の夜に、織女の気持ちを胸に星空を眺めようとは…といった歌が届くと、私はあなたがみている星空なんてみたくもありませんわ、だって、私の思いは、織女なんて問題にならないぐらいなのですもの・・・、つらいわ・・・といった歌を贈るのです。その歌を見て、敦道親王は、捨てておけないなあと彼女にまた惹かれたのだそうです。
 
 どうも彼女はあまりにも切ない哀しい女だったようで(というような女として、和泉式部日記では書かれているのですが・・・)、そのために、敦道親王が彼女のことを哀れでかわいそうに思ってしまって、そんなにつらいなら、いっそのこと、うちにいらっしゃいと、なんとまあ、妻を追い出し、彼女を家に入れてしまうのです(あれ、まあ・・・)。
 
 和泉式部風モテる秘訣は、どうも、あなたしか頼れない・・・といったか弱さ、それと、もうひとつは、意表をつくような歌の読みっぷり、だったみたいです。しばしば、「式部は返歌がなかなかうまいなあ~」と敦道親王をうならせています(やっぱりこれがかなりの魅力かも)。
 
 実際にはどんな女性だったのかわかりませんが、日記の中では、そんな女性として、自分自身を描いているようです(おそらく日記の作者は本人だろうと言われています)。
 
 また、瀬戸内晴美さんの、「かの子繚乱」(岡本一平夫人、岡本太郎の母であった岡本かの子の生涯を描いた作品)も、かの子のとても奔放な生き方をかなり綿密な取材をして描いていて、とてもおもしろい作品でした。
 
 「いずこより」は、瀬戸内晴美満州に渡り、研究者の夫とともに結婚生活をしていたのに、好きな人ができて駆け落ちにいたるまでの自伝です。これもとてもよかったです。
 
 あと、もう一冊、まだ読んでいませんが、読んでみたいと思っているのは、「田村俊子」の生涯を描いた作品。この作品も、かなりの取材がされて描かれたようです。
 
 林真理子の「本を読む女」(女が本を読まなかった時代に、本を読んだという林真理子のお母さんのことを描いた作品)、「白蓮れんれん」(大正時代の三美人のひとりと言われた歌人白蓮と、同じく三美人のトップの九条武子さんのことにも触れながら描いた作品)、「RURUKO」(若き日の浅丘ルリ子の恋愛を中心に彼女の半生を描いた作品)も好きなのですが、女性がとても魅力的な女性のことを、しっかり取材して描いた作品って、なかなかおもしろいものですので、私は、そういう作品を読むのがとても好きです。