京都deお散歩 6 ~東寺さん(教王護国寺)~

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 平安遷都に際し、桓武天皇は中国に見習って、災いが入り込まないように、いろいろな知恵を集めて、都の造営を構想したようです。

 その一つとして、風水。

 東を青龍、西を白虎、南を朱雀、北を玄武の四神で守るのに、もっともふさわしい地として、この地が選ばれたといわれています。

 青龍は東山や吉田山に鴨川、白虎は双ケ丘や西山(山陰道という説もあります)、朱雀は今は埋め立てられた巨椋池、玄武は船岡山と北山と見立てたそうです。
 
 平安京大内裏を中心に見て、背山臨水で、そして四神も配して「気」が大内裏に集まるように工夫されているのだそうです。

 また、桓武天皇は、羅生門を入ったところに、平安を祈って、国立のお寺を二つだけ作りました。それが東寺と西寺です。

 このお寺以外にはお寺は作らせず、お寺に権力が集まることを防いだようです。

 桓武天皇の子、嵯峨天皇の時代になると、この東寺は、唐から帰り、密教を学んできた弘法大師空海に任されました。桓武天皇の都造営の構想も理想を求めた広大な発想でしたが、空海の東寺造営の構想にもまた驚かされます。

 密教の教えを表す曼荼羅では、大日如来を真ん中に、菩薩や明王、そして、天とよばれる仏さまがたくさん描かれているのですが、その曼荼羅の絵を、東寺の広い境内を使って、多くの仏像を実際に配置することで表そうとしたものなのだそうです。

 なんとまあ、驚くべき壮大な発想。

 金堂中央には、薬師如来さん。薬師如来さんの周りには7体の小さい仏さまがおられ、台座のところには、如来を守る12神体の武装した仏さま。薬師如来さんのお顔はとても威厳のあるいいお顔でした。手には薬壷がありませんでした。あれ?と思っていたのですが、あとで調べたら古い様式の薬師如来さまだそうです。

 その両隣りの日光菩薩月光菩薩もやわらかいいいお姿。日光菩薩さんのお顔にまず見とれました。月光菩薩さんはちょっとからだをくねらせたような立ち姿で、美しい仏さまでした。東寺の仏さんの中で、私はこの2体の仏さんに一番見とれてしまいました。

 講堂では、ものすごい迫力のある仏さまが集合していました。大日如来を中心として、曼荼羅を立体的に表してあるのだそうです。
 
 ちょっとかわいい若々しいお顔の大日如来を真ん中に、みんなで5体の如来、その両隣には5体の菩薩と5体の明王。それらの仏さまを守る武装した多くの天とよばれる仏さまたち。
不動明王さんがとても勇ましくてよかったです。

 さて、きょうは、五重の塔の特別拝観の期間。中に入りました。この大きな重厚な塔は、何度も雷に打たれ、建て直しがされたようです。今の塔は江戸時代のもの。

 中に入ると心柱を大日如来と見立てて、4体の如来さんと8体の菩薩さんが安置されていました。壁には密教を伝えた空海空海密教を伝えて亡くなったという中国の恵果という人の肖像画などが描かれていました。

 またきょうは同時に、小子房も特別拝観の期間でした。立派な建物です。

 中に入ってまず素晴らしいと思ったのは、部屋のふすま絵です。柔らかいくすんだブルー系の絵です。牡丹の絵のお部屋、瓜の絵のお部屋、枇杷、鷹、雛鶏と続きます。

 ふすま絵は堂本印象の絵です。京都の一般庶民の生活の中からスケッチをして描いたふすま絵ということでしたが、こんな贅沢なふすまを毎日見られるようなお部屋に庶民も住んでみたいものです。

 一番奥は、天皇・皇后がお待ちになるお部屋。ここの絵は金のふすまの壁に、風景画や鶴の絵がさすが天皇・皇后のお部屋らしく、豪華に描かれていました。

 密教曼陀羅の世界を実現した仏さんたち、そして堂本印象のふすま絵と、きょうは目とこころにたいへんな贅沢をした一日でした。