備前へ行ってまいりました。
以前から気になっていた、備前焼を観てきました。
素朴な備前焼は、あくまでもお料理の引き立て役。
~ 駅前の「心寿司」さんにて~
備前で人気のお寿司屋さんだけあって、とても美味しかった
こんなに地味な焼き物なのに、同じお寿司の表情がすっかり変わります。
お刺身も備前焼のおかげで美味しそう
鯛、帆立貝柱、烏賊、鰆
ひとりずつ、ちがう器で
赤出しも備前焼
このお味噌汁、とても美味しかった
急須がまたいい感じなのです。
こんなのを買って帰ろう!と思ったけど、・・・。
やっぱり備前は、お値段が・・・
お寿司屋さんで、すっかり備前のとりこになってしまいそうでした。
何げなく置かれている器たち。これらにも魅了されてしまいました。
さて、すっかり備前の魅力のとりこになって、お店をまわってみました。
その中でも、特に、「黄薇堂さん」に行くのを楽しみにしていました。
ここでは、お願いをすると、登り窯を見せてもらえるのです。
ここでは、1年に一回、火を入れるのだとか。
一番前の丸いところが最も先に火を入れるので、温度が一番高く、最もいい作品が焼けるところだそうです。
中は、こんなふうになっています。
周りには赤松の薪がいっぱい積んでありました。この赤松を1500本も使うのだそうです。
温度が高い一番下の段のところでは、特に灰が器にかかると、それがいろいろないい模様を生みだすのだそうです。灰がかかっているのを、「ゴマがかかる」「ゴマが流れる」と言って、とてもおもしろい、いい焼きになるということなのだそうです。
上の、後ろのほうの段のにも横から薪を入れ、前のほうと同じ温度にしていき、火を入れて、焼いて、冷まして、器を取り出すのに、だいたい2週間かけるのだそうです。
この部屋には、井戸もありました。
私が買ったお湯飲み
「ゴマが流れ」て、まるで釉薬を塗ったみたいになっているでしょ。
熱心に登り窯のお話を聞いて、息子とふたりで備前焼の食器を3つも買ったので
お茶とお菓子で接待していただきましたよ。
なんて素敵な・・・
備前焼って、ほんとにいいですねえ。
こんなに素朴で地味なのに、ここまでお茶やお菓子をひきたてるなんて・・・。
青い小さなりんごと赤い実は、本物なのです。
そこがまた季節感があって、センスが良くて、なんて素敵なお接待。
お皿とお花を替えて、こちらもまた美味しそう。
このお菓子が後味もよく、とても美味しかったです。
母が、ずっと気になっていたとかいう、備前焼のお醤油さしにお醤油を入れると美味しくなるという噂。あれって、ほんとですか?と、母が聞いておりました。
ほんとだそうですよ。
備前焼の土には、鉄分が多く含まれているので、お醤油だけではなく、お水も美味しくなるのだそうです。甕にお水を入れて、それでお茶を入れると、いいお茶が出るのだそうです。
だから、金魚鉢にも、備前焼は水が腐らないからいいのだそうです。
釉薬を使わない、土だけの素焼だからこその特徴だとか。
花瓶にすると、花も長持ち。
こんな大きな花瓶は、とても高価で、まったく手がでませんので
私が買ったのは、ミニミニ花瓶。
この煙突は、最も駅近くにある大森陶々園さんの煙突。
電気窯を使っているところも増えているようですが、このお店も本格的な登り窯を使って、「先生」が焼いておられるのだとか。
このお店では、おみやげ用の花瓶を買いました。
私が選んだのは、「ゴマが流れて」いるミニミニ花瓶。それを選んだら、お店のおばさんに褒められました。「これは、最も前の方で焼いたから、ゴマが流れていい焼きのものだ」とのこと。
黄薇堂さんでお勉強した甲斐があったようです
「陶吉」さんのお店の前に置かれているたぬき
信楽のたぬきに比べて、あまり愛嬌のないたぬきです。
石畳ならず、備前焼畳
いい顔!
備前焼祭りが10月15日(土)、16日(日)にあります。
備前焼は、お値段がかなりお高いので、ほしくてもなかなか手は出せないけど、少しずつ、いろいろなお皿や急須などを買ってみたいと思いました。
いい旅でした。明日から、買ってきたお茶碗で、緑茶はもちろん、抹茶も、コーヒーも入れて飲んでみたいと思っています。毎日使えば使うほど、つるつるになってきて、いい色になってくるのだそうです。
素焼なのに、使えば使うほど、手にも口にもなじみ、控えめに、あくまでも引き立て役に徹して、お料理を生かす素朴な焼き物。それが備前焼の魅力なんだなあとつくづく思って帰ってきました。
備前焼の魅力にすっかり魅せられました。町並みもとても素敵で、また何度も訪れたいところです。